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[C524]

なるほど、各キャラを1人づつ描いていくと。
凝ってますなあ。
……私も見習わねば。
  • 2007-01-04
  • 投稿者 : しまうひと
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  • 編集

[C525]

なかなかの薄幸ぶり。
どう話に絡んでくるのかねー。
  • 2007-01-05
  • 投稿者 : F岡
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[C526]

< しまうひと
うす。
書きつつ、ですね。1章の顔見せだけでは少し弱い気がしたので。


< F岡
彼女は中身先行型のキャラですから、できるだけ触れておきたかったのです。
故に2話という早い段階での登場でし。
どうか、ごひいきに。
  • 2007-01-05
  • 投稿者 : ぴんくいくま
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ひだまりの詩 第2章 2話


「朋美。お塩取って~。」

明るい声が厨房に響いた。
早苗さんは、わたしに気兼ねなく話しかけてくれる大切な人のひとり。
上の戸棚を開けて、お塩の入ったプラスチック製の小瓶を慎重に取り出す。

「ん、さんきゅう。」

早苗さんは、わたしから塩を受け取り、それをサラダに軽く振りかけてゆく。
そんな彼女を見つつ、洗い物をするために、わたしが向きを変えた、
その瞬間

パリンッ

ひじに引っかかったお皿が床に落ち、盛大な音をたてて割れてしまった。

あ、と立ちすくんでしまうわたし。
それを庇うような位置に、早苗さんが入ってきた。

「ともみ~。大丈夫かい?」

仕事のための正装として、しっかりとしたロングスカートを着用しているために、わたしがけがをすることはなかった。
そんなことはきっと彼女もわかっていて、それでも、いつもと変わらない優しい笑顔でわたしのことを心配してくれる。

この人に出会えたことは、わたしがこの島に来てから手に入れた、確かな幸福のうちの一つだった。


◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇


『わたし』は、『東久瀬 朋美』は不幸な人間である。
いや、
幸福を打ち消してしまう人間である。
と言ったほうが、より真実に近いのだろう。

本当の親の顔を知らず、最初の親代わりとなった人の顔も思い出せない。そんな、瑣末なことで不幸を定義するのならば、確かにわたしは不幸でもあるのかもしれない。

割ったお皿は数知れず、壊したじょうろも星の数。
歩けば転び、座った椅子は脆くも崩れ去る。

たしかに、わたしは、幸福を打ち消すのと同時に、不幸な人間であるのかもしれなかった。


わたしの周りには、いつも幸せが満ち溢れている。
そのことには、3組目の親代わりの人が決まったときに気が付いた。

そして、

わたしの周りの幸せは、いつも必ず唐突に消える。
そのことにも、7組目の親代わりの人が死んでしまったときに気が付いた。


いつでも、わたしの周りに満ちている幸せは、

いつも、わたしが触れた瞬間に、

まるで、粉雪のように溶けてしまう。



いつのころからか、わたしはあまり人とかかわらないようになった。
あまりにも特異な、それこそ特異体質と呼ぶのにふさわしい自分の性質に気付いてしまったからだ。

わたしは、わたしのふれたすべての幸せを消し去ってしまう。

わたしとかかわった人の幸福を奪ってしまわないように、一日の大半をひとりで過ごす毎日。幾度も出入りした孤児院の中で、わたしは確かに一人ぼっちだった。唯一、本当の親が残した「ともみ」と刺繍されたはんかちを胸に抱いて寝ることだけが、そのころのわたしの微かな、そして唯一の、温もりだった。
わたしは、子供心にみんなの幸福を願い、祈り、そして、ほんのちょっとだけ、自分の幸福に焦がれた。


幾らかの時が経ち、唐突に、わたしが不幸を呼ぶことはなくなった。
それは、わたしにとってとても素晴らしいことだった。

そしてさらに時が経って、わたしを新しい親が迎えに来た。
それも、わたしにとってとてもうれしいことだった。

優しい小父様と、温かな家庭、そして、少し年上のお姉さん。
人の幸福を奪わなくなった自分には、きっとこれから良いことがたくさん待っているはずで、これは、その第一歩なのだと、わたしは本心からそう思っていた。

でも、ちがった。

夏輝小父様はわたしを引き取ってすぐに亡くなってしまったのだ。

当時、この館にいたのは小父様と数人の使用人の人、それに月菜さんとわたしだけ。
小父様にとても良く懐いていた月菜さんは見ていて痛々しいくらいに落ち込んでいた。

きっと、小父様が死んでしまったのもわたしのせい。
また、わたしが、みんなの幸福を、奪ってしまった。

わたしはこの館にいたもうひとりの御爺さんに習って、月菜さんが大好きなお花を育てることにした。何ヶ月もたって、わたしの育てたお花がはじめて咲いた。もちろん、そのことは純粋にうれしかったけれど、そんなことよりも、その花たちを見て月菜さんが明るさを取り戻してゆく姿を見られたことが何よりの幸福だった。

そのあと御爺さんも死んで、使用人の人もだんだんといなくなっていった。

でも、

そのもっとあと、

この島に、

早苗さんが来て、あかるい声がひびいた。

三月が来て、ゆるやかな日々がながれた。

夕が来て、みんなの笑顔がふえた。

里ヶ崎さんが来て、にぎやかな出来事もたくさんおきた。

・・・わたしは確かな幸せを手に入れたと、そう思う。


いま、わたしは、たぶん幸せだ。
わたしのまわりには、みんなの笑顔があふれていて、ふれても消えない幸せが、たしかな、かたちを持った幸せが、ここには、ある。


それでも、ちょっぴり不幸せで。
日課になった、お皿を割ることと、じょうろを壊すことも、きっと誰かが笑って許してくれるから。
わたしの不幸も、みんなが消してくれるから。
だから、わたしは、今日も、みんなで、笑顔で、いられる一日だったらいいな、と、そう思う。


    ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇


『わたし』は早苗さんとお皿を片付けながら、ふと、そんなことを考えていた。

珍しく、昨日は寝つきが悪かったけど、それは、きっと新しいご主人様が来たからで。

たぶん、少し緊張していたせいなのだろう。

今日も、できるだけ失敗をしないように、

それだけを考えて、『わたし』は、『東久瀬 朋美』は、

今日も、がんばろうと思った。





 あとがき

これを書いているときに、うっかり『わたし』を『私』で書ききってしまいまして、
あたふた 設定資料にも朋美さんの一人称は『わたし』ってしっかり書いておいたのに。
うっかりです。
出番の少なめな彼女ですが、物語の中で、きっといつかなにか、たぶん意味を持つのでしょうね。

今日この日に あなたへ ぴんくいくま
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3件のコメント

[C524]

なるほど、各キャラを1人づつ描いていくと。
凝ってますなあ。
……私も見習わねば。
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  • 投稿者 : しまうひと
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なかなかの薄幸ぶり。
どう話に絡んでくるのかねー。
  • 2007-01-05
  • 投稿者 : F岡
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< しまうひと
うす。
書きつつ、ですね。1章の顔見せだけでは少し弱い気がしたので。


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彼女は中身先行型のキャラですから、できるだけ触れておきたかったのです。
故に2話という早い段階での登場でし。
どうか、ごひいきに。
  • 2007-01-05
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