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[C601]

三月さん恐るべし。
分析のみでここまでやるとは……。
ニュータイプ?
  • 2007-02-16
  • 投稿者 : しまうひと
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[C602]

読んでる途中で超能力かと思った。
理屈は分かるが実際やると超能力よかよっぽど凄そうだなぁ。
  • 2007-02-17
  • 投稿者 : F岡
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[C603]

< しまうひと
漠然とした予知ではないところがポイント。


< F岡
理屈は世間一般の超能力者と一緒だけどね。
客の見ていないところに現象のタネがある
  • 2007-02-18
  • 投稿者 : ぴんくいくま
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ひだまりの詩 第2章 6話


・・・むう。難しい。
あれがこうなって、これがそうなって、うっと。

ぱちり

結局、僕は7三の銀を6四へ動かすことにした。
将棋盤を挟んで向かい側に座っている三月さんは、裁縫の手を止めずに、

「5二玉でおねがいします。」

と、言った。
僕は言われたとおりに5一の玉を5二に動かす。
こうして、僕は先ほどから日本古来の遊戯にいそしんでいたのであった。



・・・さて、まずは現状の説明からであろう。

僕は今、三月さんの部屋に彼女と僕の二人で(将棋をして)いる。
朋美ちゃんの案内でこの部屋までやってきた僕だったのだが、その朋美ちゃんは三月さんに壊れたじょうろを預けると、まだ仕事が残っているとか何とか言って、別の壊れていないじょうろを受け取り、いなくなってしまった。
うむ、三月さんの反応からすると、朋美ちゃんは毎日のように、この部屋へとじょうろを持って来ているようだった。

さて、三月さんの部屋は、みるかさんのそれとは違って、隅ずみまで掃除の行きとどいているとても清潔な空間だった。みるかさんも三月さんを見習ってもらいたいものだ、としみじみ思う。
しかし、綺麗に整頓されたその部屋の中でも、一角だけは、毛布やじょうろ、衣服など、統一性のないさまざまな物品が放置されたままになっているところがあった。
いや、そのすべてが『壊れた物』というジャンルでくくられているのだから、ある意味、とても統一された物の集まりではあったのだが・・・。

三月さんのお仕事は、いろいろな物の修繕と、屋内の掃除、らしい。とくに、前者はこの館において重要な仕事で、朋美ちゃん、みるかさん、夕さんの三人は頭が上がらないほどにお世話になっている、とのことだった。

一角に置かれたそれらは、三月さんの修復を待つ品々である。


そして、現在。僕の上着は三月さんの手によって修復されているところであり、それまでの暇つぶしに、と三月さんが勧めてくれた将棋にいそしんでいる、と、そういうわけなのであった。

僕は、6八の金を7三へ ぱちり と動かす。そして、じっ と盤を見つめた、

「8六歩 ですね。」

と、少し間があって、前から声がかかる。
さて、いままでのやりとりに大きな誤算があったとするならば、それは、古谷三月という女性の趣味趣向について、僕があなどっていたことだろう。
なにせ、この三月さん。将棋がめっぽう強い。盤上に広がっている局面こそ、互角といっていい勝負ではあったが。ほんの数分前に僕は「まいりました」と言ったばかりなのである。さらに、付け加えて言うならば、この二局目は、はじめから三月さんの駒が少し足りない。いわゆる4枚落ち、と言うハンディ戦である。

そして、なによりも問題なのは彼女が盤面を見ていない、と言うことだろう。

三月さんいわく、「たった36枚の駒しかありませんし、その気になれば誰でもできますよ。」とのことだったが、少なくとも僕にこの芸当はできないと確信を持って言える。
いや、僕だって暗記力にはそれなりの自信はあるし、将棋だって、けして苦手だとは思わない。ましてや、盤が見えないくらいの事ならば、ある程度の力は出せる、とそういう確信は明瞭にある。うん、あくまで、ただの目隠し将棋であるのならば。

そう、彼女が今やっている芸当は僕の言うそれと大きく違うのだ。

三月さんは、ルール上、盤を『見ない』のではなくて、盤を意図的に『見ていない』。
この差は相当に大きい。

一般に、ルール上、盤を見てはいけない『目隠し将棋』においては、対局者がそれぞれの手を読み上げ、相手に伝える。そして、それを聞いて初めて、対局者は己の頭に描いた盤の中の駒を動かし、次の手を考える。
しかし、もしも、その対局者同士が自分の手を読み上げることの無い『普通の将棋』において、盤を完璧に見ないということになったなら、即ちそれは、相手の指した手すらも見えないことを意味する。
つまり、いくら盤上で起きたことを暗記しようとしてもそのこと自体がわからない。という現象が起こるのである。

先ほどから三月さんのほうを見ているのだが、いっこうに盤を確認する気配はない。
ようするに、彼女は相手の指している手すらも頭の中だけで読み切っている、とそういうことなのだった。

「気になりますか?」

視線は手元のまま、唐突に、三月さんは問うた。
ちくちく と裁縫の手を止めずに。僕の返答を待っている。
こくり と僕が頷くと、彼女もまた頷いて、口を開いた。

「チーちゃんさんが気になっているのは、どうして私がチーちゃんさんの指した手を知ることができるのか。そんなところですよね?」

質問と言う形をとった確認。

「チーちゃんさんが疑ったのは、まず私が盤を盗み見している可能性。」

確認すら必要としない断定。

「はい、でも違いました。もちろん、私は盤上を一切見ていません。では、どうやってチーちゃんさんの指した手を認識したのか。否、事実、私はチーちゃんの指した手を確認していないのです。ん、少しばかり表現が違いましたか。・・・私はチーちゃんさんの指した手自体、それが何なのかすら、知らないのです。そう、そうすると、チーちゃんさんは思うはずです。相手の指した手もわからずに将棋をできるわけがない、と。確かにその通りで、相手の指した手がわからなければゲーム自体成立しないでしょう。でも違うんです。
私は、たしかにチーちゃんさんの指した手が何なのか、『確認して』いませんし、実際に何を指したのかは「しりません」。ですが、それでも、チーちゃんさんが何をしたのかは『わかって』いるんです。一般の感覚で言うところの「見ずとも解る」、というものですね。」

僕が指した手を確認せずとも、わかる。
彼女の言いたいのは、そういうこと。
三月さんは続けて話す。

「頭の中に浮かぶ無限の手筋、その中から、一局目で知ったチーちゃんさんの性格や実力から判断した、指しうる有限の手を選びます。・・・しかし、それでは、ある程度まで候補を絞ることはともかく、それを完全に特定することはできないのではないか。チーちゃんさんはそう思います。」

またもや断定。

「でも、チーちゃんさんは一つだけ失念しています。私はたしかに、盤を見てはいませんが、それでも、チーちゃんさんの正面に、今、確かに、この場所に、座っているんです。わかりますか? チーちゃんさんの動く気配、駒が盤を叩く音。チーちゃんさんがどのあたりの駒を動かしたか、と言う程度のことならば、私にも十分に知ることができるんです。
そして、4枚落ち、と言う状況。
これはただ単にチーちゃんさんだけに有利に働く条件です。要所にかかわる駒の数が少なく、とても簡潔な思考でことを進められる。チーちゃんさんが取る指しまわしは、必然的にいわゆる一本道というものになります。
逆説、チーちゃんさんがどのあたりの駒を動かしたかさえわかれば、私にはチーちゃんさんの指した手がわかるのと同義。」

つまり、4枚落ち、という逆境さえも三月さんの思考を助ける要素になっている、とそういうこと。
最初にある無数の選択肢、その中から僕の意思によって決められるそれは、じつは有限の選択肢の中から三月さんの手管の中で断定されたものと同じ結果になると、そういうこと。
しばらくの沈黙ののち、

「できましたよ?」

三月さんは僕の上着を差し出してくれた。生地と同じ白色で縫われたそれは、とても柔らかそうに、しかしとても丈夫に、補修してあった。
そして、それを受け取り、そのまま視線を上げた僕は、こちらを見ていた三月さんと、不意に目が合う。

「なんてね? 信じましたか? チーちゃんさんは素直ないい子ですから、相手のようすを窺いながら何かする、と言うことを絶対にしません。詐欺には気を付けてくださいよ?」

なるほど、そういうことか。
つまり、いくら用心していても、僕が自分の手を指すときに見ているのは必ず盤の上。わざわざ、三月さんの顔を見たまま指したりはしない。
その間は、彼女にも盤を見ることが許される。
自分の見ているものがすべて、と決め付けた僕の、その裏をとる、そういうからくり。

「やられましたね。」

「いえいえ。『ヒトのウラを盗る』詐欺の初歩ですよ。」

僕は苦笑いとともに立ち上がると、三月さんに見送られてそっと彼女の部屋を出た。

バタン

と扉を閉じ、上を向いて ふっ とため息。
自分はまだまだ半人前だ。再確認。

赤い絨毯の敷かれた廊下を僕はゆっくりと歩き出す。
遠くに、さちるの呼ぶ声が聞こえた気がした。
落ち込んだ僕を呼び寄せるかのように。


あのやり取りをなしにしても、4枚落ちで完敗することは必至だったのかもしれない。
いや、そこについての反省は無意味だ。

そこではなくて、三月さんの最初の言葉。
あれだけは、トリックでもなんでもないない。

なぜなら、僕を見ていないはずの三月さんが僕の視線に気付いたのだから。
僕自身の雰囲気を、完全に読まれた。
なるほど、古谷三月という女性はとんだ詐欺師のようだった。






 あとがき

この回はなかなか書いていて難しかったです。
言いたいことは決まっているのに上手い表現が出てこない。そんな感じでした。
以下、没表現↓


『「ん? チーちゃんさんはまだ私の言いたいことを理解されていませんか?
そうですねぇ、例えば、算数の問題です。
時速50kmで走る車が、30分後には何km先にいるでしょう。
解答は当然、
50×30/60=25 [km]
 こうなります。では仮に、チーちゃんさんがこの問題を解いていたとして、わざわざこの答えを確認するために、車に乗り、時速50kmで30分間走りますか? いえ、そんなことはしませんね、そう、この場合左辺の式を解くだけで十分なのです。それは確認するまでもないこと。式を解いた時点でその答は確固たる事実となるのです。
つまり、チーちゃんさんが車で走る。この場合、チーちゃんさんが思考する。という行為の末に出された6三銀という一手は、それとは別の50×30/60という過程。この場合、私がチーちゃんさんの一手を予想する別のプロセス、によっても導き出すことのできる結果なのです。」

・・・うう、よけいに難しい。
ようするに、三月さんは僕の思考が導き出す結果を、別の方法で予測できる。とそういうことなのか? さながら、算数の公式を使うように。』


・・・わかっていないチーちゃんを余計に混乱させてどうする気なんでしょうかね。
音楽聴きながらやってる場合じゃなかった気がします。
どうか、みなさんには、うまく伝わっていますように。
では、

もう、こんな日に あなたへ ぴんくいくま
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3件のコメント

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三月さん恐るべし。
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  • 2007-02-16
  • 投稿者 : しまうひと
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読んでる途中で超能力かと思った。
理屈は分かるが実際やると超能力よかよっぽど凄そうだなぁ。
  • 2007-02-17
  • 投稿者 : F岡
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< しまうひと
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