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[C638]

これはまさか入ってはいけない場所に入るというやつでは……。
はああああ。これはマズイ。
あらゆるバッドフラグ候補が……。
  • 2007-03-13
  • 投稿者 : しまうひと
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[C639]

ここまで来たってことは………あぁ…書き貯めが残り僅かに……
  • 2007-03-13
  • 投稿者 : ぴんくいくま
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ひだまりの詩 第2章 11話



「朋美ちゃん。なにをしてるの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・(沈黙)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・(僕の沈黙)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(沈黙)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(僕の沈黙)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・バルサンの準備」

僕の疑問に朋美ちゃんは簡潔に答え、自室の扉の前でしゃがんだまま、隙間を埋めるための新聞紙を黙々と折りたたんでは、扉の下につめてゆく。
どうやら彼女の機嫌はとても悪いらしい。
そのことは、僕が話しかけてからのタイムラグが異様に長かったことからも推し量ることができよう。

何故か?

言わずもがな。

では、どうすればいいのだろう?

わからない。

僕が、途方にくれ、さちるも あわあわ していると、廊下を挟んでちょうど反対側。すなわち、夕さんの部屋の扉が開いた。
もちろん、そこから出てきたのは、すらりとした長身の女性で、僕たちの方を見て軽く手をあげる。

「お~。少年たちよ、準備はできたかね?」

幅の広い廊下を挟んでも、よく聞こえるように、夕さんは大きめの声を出す。

ビリビリビリッ

後ろから新聞紙の悲鳴が聞こえた。
どうやら、朋美ちゃんにもよく聞こえたらしい。
僕とさちるは夕さんのほうを向いて、黙って頷いた。

「おお、そかっ。早苗っちも準備万端だそうだから、そろそろ4人で行こうか?」

夕さんはまたしても大きな声で言う。
というか、「4人で」を異様に強調しながら言うあたり、かなり意図的だ。
俯いているので表情までは確認できないのだが、朋美ちゃんの肩は震えている。

もしかしたら、泣いているんじゃなかろうか?

そんな僕の推察を知ってか、知らずか、夕さんの友人いびりは続く。

「あれぇ? 朋美ちゃん。なにをやってるのぉ?」

あえてねちっこい、あからさまな、いやみ。
こんな大人にはなりたくないなぁ、と僕は強く切望した。
朋美ちゃんがさらに俯き、本気で泣き出しそうな気配をかもしだしはじめる。
それを察したのか、さちるから「やめましょうよ」という声があがり、夕さんも、とりあえずは口をつぐむ。
ちょうどそのとき、ロビーのほうから早苗さんの呼ぶ声が聞こえてきた。
僕は、朋美ちゃんに「がんばってね」と声をかけて。さちると一緒に歩き出す。

「んじゃあ、朋美。行ってくるね~。」

夕さんも、楽しそうにそう言って、一緒に歩き出した。
ゴメン。朋美ちゃん。
思ったところでどうにかなるものではなかったけれど、僕はそう思わずにはいられなかった。



◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇



「うっし。じゃあ、少年よ。ここらで休憩だ。」

山の中腹まで来たところで、夕はそう言っていったん立ち止まった。
しんがりを務めていた早苗が追いつくと、夕も荷物を置いて、適当な切り株に腰を下ろす。
ちょうどここらへんは、木々の合間からやわらかな日光が降り注いで、暖かい空間を作り出しているところ。
夕と早苗が山仕事のためにつくった休憩用のスペースだ。
この場所をつくるのにも結構手間をかけたなぁ、と『さなえ』は、『久留芽 早苗』は、そんなことを思い出していた。


これは、山の中に入らなければわからないことなのだが、この山は外からの見かけに反して、木々がうっそうと生い茂っているわけではない。
わりとものぐさな夕の、それでも、なんだかんだ言いつつ真面目にしている仕事の成果だ。


心地よい日差しを受けながら、早苗も少し大きめの切り株に腰を下ろす。
今日は、さちるちゃんの調子もいいようで、まだまだ元気だ。

「はい。どーぞ。」

少し離れたところに座っていたご主人様とさちるちゃんに、水筒から注いだ紅茶を手渡す。
二人が受け取ったのを確認してから、早苗も自分のコップにそれを注いだ。

「おいしいですね。」

湯気を立てる紅茶を飲みながら、ご主人様は、そんなありきたりな言葉をつぶやく。ご主人様はきっと、朋美と同じくらいの口下手。それでも、その気持ちを懸命に伝えようとしてくれる言葉の節々に、温かさを感じずにはいられなかった。
とりあえずは紅茶を持ってきて正解だったようだ。ほっと息をつく。
さちるちゃんも目を細めて、おいしそうに紅茶を飲んでいた。
そんな彼女たちを見つめながら、浮かんだのは小さな悪戯心。

「さて、問題です。この紅茶は早苗と三月さん、どちらの入れたものでしょう。」

と、唐突に、にこやかな声で言ってやった。
突然の言葉に、悩むご主人様の顔は、結構かわいい。
そんなことを思っていると、

「三月さん。」

と、さちるちゃんのほうから、ためらいの無い答えが返ってきた。
「正解です。」と、早苗は頷く。
しかし、どうして、さちるちゃんはわかったんだろう?
いぶかしがるような視線を感じたのか、それとも、きっと同じことを思っているのであろうご主人様の気持ちを察したのか、さちるちゃんはその理由を言う。

「昨日、一緒にお茶をしたときにね。三月さんが「早苗がダージリンで、私がアールグレイなんですよ。」って言ってたの。」

なるほど、
そういうことならば、と納得した。

「やっぱり三月さんにはばれてましたか。」

と、苦笑い。「三月さんにはばれないようにしていたつもりだったんですけどね」と少し、残念そうにぼやいてみる。

早苗は、アールグレイを淹れたりはしない。

三月さんには言いにくくて、ずっと黙っていた。
そのことがばれていたのは、たしかに残念ではあったけれど、なんとなく、そんな気はしていた。
そんな早苗を見つめて、さちるちゃんはさらに言葉を続けた。

「ああ、それと早苗さん。三月さんからの伝言なんですけど、」

と、彼女はいったん言葉を切る。どうしたんだろう? 早苗が注視すると、さちるちゃんは、すっ と息を吸ったあと、目を閉じながら言った。

「「私に遠慮してダージリンしか淹れない、とか、そんな気遣いはしてもらわなくていいのよ? 私とあなた、どちらの方がおいしいか、とか、私は、そんなことに興味は無いのだから。むしろ、弟子が師匠を超えるのは喜ぶべきことなのですし。そうそう、気遣いと言えば、月菜ちゃんのピーマン嫌いについて、あなたは意識し過ぎではないかしら、とも思うんです。彼女も子供ではないのですから、わざわざ肉詰めにしたり細かく切ったりしなくても、きっと食べてくれます。ですから、緑色のおかずを補うのにキャベツをふんだんに使う、という手法に対して、私は、異議を申し立てたいのですけれど、いかがでしょう?」だそうです。」

声色こそ真似ていなかったが、きっと一文字一句そのまま三月さんの言葉なのだろう。節々に、早苗の心を読みきったような彼女らしさが、溢れている。

「なはは、三月さんらしいね。」

と、早苗は小さく笑った。
それにつられるように、さちるちゃんも笑う。
さちるちゃんは、ほんとに可愛い子だ。
そんな彼女を前にして、早苗も自然に言葉をつむぐ。

「でも、一つ勘違い。早苗は三月さんを気遣ってそうしているわけじゃないんだなぁ。むしろ、勝てる見込みが無いからそうしているのであって・・・。」

うん。これが本音。三月さんのはとても『わかりやすい』技術だったけれど、早苗なんかに『できる』技術ではなかった。だから、今でも、不完全なスキル。きっといつかは真似してやろう、と本気で思って、修行中なのである。いつか彼女に追いつけますように。
そう思いながら、さちるちゃんたちを退屈させないように何気ない会話を続ける。


こんな他愛も無い事を、楽しいと感じられる。それはとてもすばらしいこと。
そのことに、さちるちゃんやご主人様は気付いているのだろうか?


ふいに、心の中を暗い思いが駆けた。

ううん、きっと大丈夫。だって、今の二人はこんなに幸せそうではないか。
それを奪ってしまうほど、世の中は理不尽ではない、そう思う。

と、そこで、いままでのやり取りを遠目に見ていた夕が、唐突に呼びかけてきた。

「なあ、早苗っち。久々にあの場所に行かないか?」

あまりに、平常な声色に、反射的に頷きかける。が、問題なのは声色ではなくて、提案の内容だった。

『あの場所』

それは、この島の中でもお客様には見せてはいけない部類に含まれる物の一つ。
夕が、何を思ってそれを口にしたのかはわからないが、まだ、お客様である彼女たちに見せるべきものではないと、そう思う。
だから、早苗は反論することにした。

「でも、あそこは月菜さんの・・・。ううん、そんなことじゃなくて、この島の、外の人には・・」

さちるちゃんたちには悪いが、彼女たちはまだ部外者だ。月菜ちゃんの意思であるならばともかく、早苗たちの思いつきで、今、彼女たちを巻き込むわけにはいかない。
この反論をどうとったのか、夕はまだ食い下がるようだった。

「いいじゃん、少年たちにとってはおもしろい場所だし。それに少年たちは、みんなが信頼する太郎さんとやらの関係者なんだろ? 誰も異論なんか唱えやしないよ。」

『太郎さん』。
夕はまだ彼に会ったことはない。
それでも、その世界では有名な名前。
月菜ちゃんを救ってくれた人の名前。

その瞬間、心の中で働いた醜い打算。

この二人を巻き込んでしまえば、太郎さんは容易に「こちら側」に付いてくれるのではないのか。
と、言う。汚い考え。

「・・・・・・たしかに・・そうだよね。」

気付けば、夕の案を承諾していた。

「よし、決まりだな。」

立ち上がった彼女を先頭に、ご主人様と、さちるちゃんが歩いてゆく。
その後姿を見つめ、早苗は自己嫌悪に陥った。



・・・早苗は弱い。



太郎さんを見方に付けるために、ご主人様とさちるちゃんを利用しようとしている。

月菜ちゃんは、きっと、こんな方法で太郎さんを味方につけることを、望んではいない。

あの人ならば、誠心誠意、対等な条件でお願いする。恥を、外聞を捨てて、助けてください、と大きな声で言うのだろう。あの小さな体で精一杯の声を振り絞るのだろう。

そして、それを受けた太郎さんも必ず、誠意を持って対応してくれるはずだ。あの、おおらかな笑いを浮かべながら、彼のすべてを賭けて、助けてくれるのであろう。

あの人たちは、自分の心を迷わない。

二人ともが、早苗なんかには理解できないほどの正直さを持っていて、
二人ともが、早苗なんかには理解できないほど素直に行動できるのだから。

あの人たちは、早苗の想像もつかないような綺麗な場所に居る。



・・・早苗は弱い。

いくら人を信用しようとも、いつまでたっても人を信頼できない。



・・・早苗は、弱すぎるのだ。
見合う力も無いのに、人を助けたいと思ってしまう。
たいした心構えも無いままに、月菜ちゃんを守りたいと思ってしまった。




・・・月菜ちゃんは、綺麗すぎる。

本来ならば、こんな争いの渦中にいるような、いやしい人ではないのだから。

・・・太郎さんは、高潔すぎる。

あれほどの力を持ちながら、誰かを助けるためにしか、それを振るおうとしないのだから。



・・・早苗は、弱い。


・・・早苗は、弱すぎる。


・・・でも、


・・・それでも、


・・・だから、


・・・だからこそ、月菜ちゃんのためになら、がんばれる。


・・・そう、彼女のためになら、死んでもいい、と、さえ、思える。


『さなえ』は、『久留芽 早苗』は、あの明るい女の子が大好きなのだから。


あの人のためになるのなら、早苗は、醜くていい。
あの人のためになるのなら、早苗は、汚くていい。


あの少女のためならば、いくらでも、早苗は試練を課せられるから。


だから、『さなえ』は『久留芽 早苗』は3人の後を追って、一歩を踏み出した。






 あとがき

さて、このお話。本当は、早苗さんの視点から書くつもりは毛頭無かったのですが、なんか、上手くいきそうな感じがしたので、(というか、チーちゃん視点が上手くいかない気がしたので)チーちゃん視点と合わせて二通り書いてみたりしました。

で、結局、早苗さんのほうを採用。

なんか、いいですね。

前回からですかね。少し、物語の本幹にかかわりつつある感じです。
ですが、まだまだ、先は長そうです。


雨の寂しい日に あなたへ ぴんくいくま
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2件のコメント

[C638]

これはまさか入ってはいけない場所に入るというやつでは……。
はああああ。これはマズイ。
あらゆるバッドフラグ候補が……。
  • 2007-03-13
  • 投稿者 : しまうひと
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ここまで来たってことは………あぁ…書き貯めが残り僅かに……
  • 2007-03-13
  • 投稿者 : ぴんくいくま
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