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魔法少女リリカルなのはI’s 第三話



それは、小さな思いでした

決別したはずの、悲しい思い出と

決意したはずの、まっすぐな想い

小さく揺らいだ、その『想い出』に

醜い過去は、大きく滲んで

明るい未来は、微かに歪んだ


そこにあったのは、懐かしくも新しい、たった一つの小さな出会い






――――― 魔法少女 リリカルなのは I's
                           はじまります ―――――



              第三話 「襲撃者(後篇)」













噴煙が舞っている。
視界をまるきり覆い隠してしまうほどのそれは、まるで雲の中にいるかのような感覚をフェイトに与えた。

「フェイト、大丈夫か?」

靄の中、傍らに備えるアルフは再び主に問うた。

先ほどの急襲。
たった一撃放たれただけのそれは、力強く、なおかつ速く、重い。
完成度の高い、戦闘用の魔術。

相手は高レベルの魔道師。それは間違いない。
おそらくミッドチルダ式。
実力は低く見積もってもAAクラス以上。

そこまで分析して、アルフは再び口を開いた。

「敵の心当たりは?」

フェイトは短く答える。

「解らない。でも、なのはに関係がのあるかも」

どうするべきか。
その答をアルフは待った。

「相手が手ごわければ無理はしない。でも、事情を聞きたい。出来れば確保したい」

主の発したそれは、予想通りの答え。
二日間も探し回った甲斐があったと言うものだ。
有無を言わさぬ先制攻撃。相手の敵意に疑いの余地はない。
ならば、捕まえて事情を聞く。

執務官の職務手順どおりに事を運べばいい。

「アルフは後方支援を。私が打って出るから」

頷き、目を合わせる。
長年の付き合いだ。
タイミングを計るのに声などいらない。



……1……2……3……GO!!



それだけ数え、二人はそれぞれ上下に加速する。

アルフは靄の下側、森の真上に、
フェイトは靄の上側、敵の眼前に、

そうして、彼女らは同時に靄を抜けた。






     ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇







「なのはが消えた?」

高町恭也は、自分の耳を疑った。
三日前、なのはは「管理局で長期の仕事があるから」と言って家を出た。
それきり何の音沙汰もなかったが、別の世界へ行っている間、連絡が取れないなどと言うことはざらにあったので、てっきり、そういうことだと思っていたのだが……。

「それは、どういうことですか?」

母、高町桃子が言葉を引き継いだ。
家柄として緊急事態には慣れている高町家ではあったが、それでも、末っ子の失踪は平穏とは程遠い。
言葉を受けた管理局務員はしごく冷静な声色で答えた。

「はい、まずは現状の説明からしたいと思います。
 管理局魔道師、高町なのはさんは先日、同じく管理局の魔道師、クロノ・ハラオウン執務官を襲撃。そして、これを撃破。
 そののち、彼の所有するインテリジェントデバイス、……これは、我々の「武器」にあたるものなのですが……それを奪還し、失踪いたしました。
 我々、時空管理局も事態の判明以来力を入れて捜索してはいるのですが、依然として何の手がかりも得られておりません」

アレックスと名乗った局務員は手元の資料を読むわけでもなくすらすらと述べた。
ここら辺はさすが管理局の人員である。

少しの間、客間に沈黙がまいおりる。

 ズズ

と、恭也はお茶を一口すする。
そして、口を開く。

「それで、……なのはの行方もそうですけど、失踪の理由もわかってはいない、と言うことですか?」

事の顛末を聞く限り、誘拐と言う選択肢だけはなさそうだ、と言うことくらいしか恭也にはわからなかった。

「そうですね。お恥ずかしい話ですが、全く以てその通りです。
 ……ただし、武力による誘拐や、脅迫による監禁の線は薄いと、そういう結論は出ています。
 前者については、「高町なのは」という魔道師を武力制圧できうる実力を持つ者が、我々の把握している世界においてほんの一握りしかいないこと。
 そのうえ、その力を持つすべての人物が事件前後に不審な動きを見せていない、ということが理由です。
 そして、後者を否定する理由については、ご存知の通り、彼女の性格ゆえです。彼女は何者にも屈しない。
 もしも、そのようなものがあるとすれば、それは、彼女が、彼女自身より圧倒的に正義である。と、感じたものなのでしょうけど……」

アレックスはそこでいったん言葉を切り、伏し目がちになっていた視線をあげた。

「……そのようなことは、ありえません。
 なぜなら、彼女以上に正義に近い人間は、我々、管理局にすら、唯の一人も、いないからです」

そう言って、軽く笑った。


彼の眼鏡が、眩しかった。








     ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇








靄を抜けたフェイトを襲ったのは、数え切れないほどの火球の弾幕だった。
囲まれることのないように螺旋状によけ、時にはバルディッシュの鎌で打ち落としてゆく。
上空にいる相手の魔道師の影はいまだに見ることができない。
相手が巧妙に操る火球のせいで、フェイトはある一定の高さより上には進むことが出来ず、足踏みをさせられていたのだった。

(まるで見えない壁があるみたいだ……)

そういえば、リニスにもこんな戦い方を教えてもらったことがある。
ふと、フェイトは懐かしい過去を思い出した。

自身に有利なときは相手と出来るだけ距離をとって飛び道具で勝負する。そういう場合は、極論、相手が近づいてこないのならば待っているだけでもいい。
優勢な時は間違っても接近戦に持ち込んではいけない。むしろそれさえしなければいい。
相手がやっているのはそんな戦い方だ。

フォトンランサーの使い方の一つとして学んだ記憶がよみがえってくる。

(そういう時は最初に防衛ラインを決めるんだ)

それはわかっている。なんども足踏みをさせられたあの高さだ。

(そして、左右どちらか、誘導する方向を決めて、罠を張る)

目立つように火球が配置されているのは右側。ならば相手の誘導したい方向は左。

(あとは、畳み掛けるように攻撃をして……)

また、火球が飛んできた。フェイトはあえて相手の誘導する左によける。

(その先に目立たないように配置しておいた本命の弾を標的に当てるだけ)

予想通り、薄い雲に隠れて死角となっていた上方から火球が飛んでくる。

(教科書どおり……か)

迫る火球を、フェイトは引きながらあしらって元の位置に戻った。

(もう一度……)

今度は、迫る火球を右にかわした。しかし、数多の弾幕に押し返される。
あれだけ目立つように配置できると言うことは、それなりの弾数が確保されていると言うこと。
右に避けては活路はない。

(もう一度……)

再び火球を左にかわし、『線』に迫ったところで本命に押し返される。
やはりあの高さが『線』だと確認する。

(もう一度……)

また左にかわし、今度は一瞬の時間差フェイントを使って『線』に迫る。
しかし、先ほどよりも数を増した火球の群れに追い返されてしまう。
こちらが突破に力を入れれば、相手も力を増す。
つまり、余力を持って戦っている証拠。

(もう一度……)

重ねて左。今度は最初から全速力で迫る。
それでも、巧妙に誘導され本命に追い返される。
何度やっても最後には、同じ高さ、同じポイントで、同じところからやってきた本命に落とされる。
このままでは、いつまでたっても相手に近づけない、微かなダメージの蓄積でいつかはこちらがやられてしまう。

(もう、いち……ど?)

そうしてフェイトは、その「違和感」に気が付いた。

何度も繰り返された、相手のプラン通りの戦闘状態。

避けて、迫って、追い返される。

繰り返されるのは、同じ過程と同じ結果。

今までやってきたことゆっくりと頭の中で反芻する。

(最初の火球を右には避けることはできない。そして、左に避けても巡り巡って最終的には同じ結果)


でも、だからこそ、そこに攻略法はあった。



(……見つけた!)



それに気がついた瞬間、フェイトは次の相手の火球を待つまでもなく『線』の左側に向けて加速した。
あえて相手の誘導する方向へ。
そして、加速した彼女を追って来たのは本来ダミーで設置してあったはずの右側の火球。

(やっぱりだ。新しい火球じゃなくて、もともとあった火球が追ってくる)

標的を誘導するのには、その絶対条件としてそれなりの手数が必要だった。
そして、いままでその役目を負っていたのは最初にフェイトへの攻撃に使用していた火球。

常に目標を誘導するため、相手は動かすことのできる火球を常備しておかなければならない。
待つだけでよかったはずの、有利なはずの相手は、だから、絶えず攻撃を仕掛けてきた。

しかし今、相手の手数は補給されていない状態になっている。
相手が攻撃を仕掛ける前にフェイトが動いたことによって、そのプランの初手が崩されたからだ。

さらに、フェイトには時間的余裕が出来ていた。

必然的に、今までは追われるままに回避していた飛行経路にも、多くの選択肢が発生する。
慎重にコースを選んで飛びながら、しかし、フェイトはあえて速度を落とした。

(あの線を越えるために必要だったのは、たった一度のタイミング)

めまぐるしく動く視界の中、それと同時に思考を回転させながらも、『線』へと着実に迫る。
何度も足踏みをさせられた、敵の絶対防衛線。

フェイトが失速したために、後方の火球もだんだんと追いついて来た。
そして同時に、何度となく繰り返されたのと同じタイミングで上方から本命が発射される。

(……やっぱりだ)

確信を持ったまま、フェイトは『線』にみるみると迫って………



「バリアジャケット、パージ!!」

『Yes sir.』



フェイトの掛け声とともに小爆発が起こる。
そして、それに巻き込まれたいくつかの火球がはじけて消えた。

そう。
必ず同じタイミングで迎撃してくると言うことは、逆に、こちらにとってもその時を知るのは難しくないということ。
だからフェイトは、最初に獲得した時間的余裕を使ってあえて失速し、よりタイミングを計りやすい状況を作り出した。
そして、相手の本命の威力を軽減することに成功する。

さらに、狙いはそれだけではない。

爆風を追い風にして、フェイトは急加速を行う。
ぐんぐんと後方の火球を引き離し、焦るように上方から放たれた残りの火球もかわしていく。

狙いは、そう、フェイトの本来の速さで相手に迫ること。
バリアスーツをまとったフェイトの速さは、先ほどの比ではない。


案の定、『線』を越えた後もフェイトは加速を続け………





          そうして、薄く張った雲を抜けた。












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